西部・佐高「学問のすすめ」

 先日、仙台の古本屋で佐高信「タレント文化人100人斬り」を買い、帰りの新幹線+1時間で一気に読ませてもらった。この著者の代表作が何なのかは知らないが、辛口評論家と言われて、それなりに知られた存在ではある。ビートたけしや西部遵のように複数回斬られている人もいるが、次々に100人が口汚く斬られており、さすが辛口評論家である。私も結構辛口なので、同感できる批評も多かったが、これだけ他人の批判を並びたてられると、「この著者はいったい何様なんだろうか」とか「この著者はどのような人物を良しとしているのだろうか」という疑問が湧いてきてしまう。
 この佐高氏と同氏がこっ酷く斬っている西部氏が、対談番組『西部邁佐高信の学問のすゝめⅢ』(朝日ニュースター)で映画「マルコムX」を題材に対談するというので、録画しておいて本日観た。驚くことに、あの佐高氏が追従笑いを浮かべながら、ほぼ一方的な聞き役に回っていた。しかも、西部氏のコメントはまったく支離滅裂で、両氏が「マルコムX]どころかアメリカについて驚くほど理解が低いことを知って、本当にびっくりさせられた。西部氏はカリフォルニアのバークレイ大学に1年強留学し、アメリカの酷さを理解したので、金輪際アメリカには行きたくないそうである。先ず言いたいことは、私も同じ大学に留学したが、それはカリフォルニア大学バークレイ校であり、バークレイ大学など存在しない。(因みに、UCLAはカリフォルニア大学LA校の略称である)UCバークレイは世界の大学ランキングでトップ5以内には間違いなくランクされる州立の名門校で、西部氏ごときに揶揄される理由はまったく見当たらない。西部氏は、自動車を運転されないようであるが、自動車を運転できない人間にとってはアメリカは地獄であり、西部氏がアメリカ嫌いになるのも当然である。運転免許が無ければ、アメリカの社会を四分の一程度しか理解できない。しかも、1年強の期間ほとんど安物ワインを飲んだくれていたようで、どの程度の英語力があるのか知らないが、とてもアメリカを語るだけのレベルのアメリカ理解を持っているとは思われない。
 日本でしか通用しない暴論・暴言を71才の老人が酔っ払いのようにズルズル話す番組を放送すべきだとは思わないし、未だ唯一の強国であるアメリカをほとんど理解してないで、オピニオン・リーダー面をして欲しくない。二人とも終わった人だという声もあるが、この二人のアメリカ理解には心底愕然とさせられた。斬られるべきは彼らである。