GWの映画館

kashiwaoak2008-05-03

 昨年4月、水曜日の午後6時開演であったが、駅から5分の映画館で、「どろろ」をたった一人の観客として観ることになった。柴咲コウのファンではあるが、本作は私の好みの分野ではなく、大宣伝に乗せられることもシャクだったので、見ないことにしていたが、ついに遅ればせながら映画館に足を運んだ。
 商業映画館のたった一人の観客として映画を観るのは人生初めての経験で、小学校の校庭に臨時のスクリーンを張った夏休み映画会、立ち見が当然の満員の映画館、といった時代を覚えている世代としては、映画産業の凋落を痛感させられた。(余談ではあるが、観客がいない場合、開演後20分くらいの上映義務を果たせば、上映を中止できるとのことであるから、私のために累積赤字が増加してしまったことになる。)
 
 今日は、連休中の映画館はどんな様子かという興味から、新しく出来た駅前ショッピング・ビルのシネコンに飛び込んだ。このシネコンに廃業されては困るので、シニア割引でなるべく足を運ぶことにしているが、開店早々から経営は苦しそうであり、心配している。野暮用の帰りで、観られるものを観ることで飛び込んだが、幸い「相棒」を15分待ちで観ることができた。普段は寒々としたロビーにも活気があり、映画館の係員もうれしそうであった。「相棒」の予備知識はほとんどなく、新聞に良いコメントがあったことと私の好きな分野であることから、観ても良いと思っていた程度で、開演時間が上手く合えば、「大統領の陰謀」か「フィクサー」を選んだはずであるし、他の映画がダメであれば、仕様が無いから「少林少女」を観るかといったチョイスを考えていた。「相棒」の寸評は後にするが、テレビの大ヒット作品をオールスターキャストで作った映画を、連休の15時開演で90%の入り、直前でも切符が買えるようでは、ビジネスとしてやはり寂しいと言わざるを得ない。

 最後に、「相棒」の感想を一言で言えば、「ワルクナイ中華料理を腹いっぱい食わされた」という感じ。テレビのヒット作品であることを知らなかったから、邦画にしては多様なテーマを小気味の良いテンポで取り上げていて、最初の内はドンドン引き込まれた。しかし、中華料理のようにあまりにも多くの材料を取り込んでいるから、段々と不整合な感じと胃もたれ感を持たされてしまった。例えば、チェスの知恵比べという面白いアイディアの前半が、突然ドロドロの人情・政治物の後半に変わった感があり、「人畜無害の知的遊び」と「軽薄な日本社会とマスコミへの批判」という深刻な社会問題を、一本の映画に詰め込むことはやはり困難であったと言わざるを得ない。しかし、それでも「面白ければ何でもOK」というファースト・フードのような別のテレビ局への対抗意識からそうなったのだと思うし、中華料理の方がファースト・フードよりは高級であるし美味いことは間違いない。
 総合点では、{映画愛好家としては、5点満点の4点。映画投資家の観点からは、テレビのヒット作で、先ず投資回収に問題はないと思われる企画であるから5点満点を付ける。}