2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧

サブプライム・ローン問題(その2)

サブプライム・ローン問題は、現在の金融システムと金融理論が陥っている課題を象徴する現象の一つなので、5月4日に引き続き(その2)を纏めたい。 最近、証券化商品などで実際の取引が少ないために時価を算出しにくい高リスク資産を「レベル3」の資産と呼…

最高の人生の見つけ方 (THE BUCKET LIST)

腰痛がひどい時など、生きるのが面倒だと感じる歳になった。人生、残り時間を意識して生きる歳でもある。本作の原題(THE BUCKET LIST)は、死ぬまでにやっておきたいことのリストということらしいが、私はそのようなリストを準備しているわけでもない。リク…

素晴らしいドキュメンタリー・ドラマ

ドキュメンタリー作品というと、NHKのように、出来るだけ感情を排し、客観的な印象を与える作品が本来の姿であるような気がしていた私にとっては、感情を前面に出したドキュメンタリー・ドラマとも呼ぶべき作品を2本続けて鑑賞した。Dear Pyongyang ディア…

 平泉

平泉の世界文化遺産登録が延期されたというニュースが流れた。 仙台に住んでいる時に、見逃すべきでないものの一つが平泉であると考え、車を使い一泊二日で平泉を訪れた。京都・奈良とはいかないまでも、少なくとも鎌倉の半分くらいは見るものがあるとの前提…

 貯蓄から投資へ(その3)

1500兆円の金融資産は幻想である しばしば、「日本には約1500兆円の金融資産がある」と言われる。この数字は、国の貸借対照表とも言うべき「金融資産負債残高表」の「家計」部門の資産額を指している。若干古いが手元にある「金融経済統計月報」(日本銀行)…

フィクサー

本年度アカデミー作品賞など多数の部門で候補作であり、社会派スリラーという私の好きな題材であるから、遅ればせながら「フィクサー」を観に行った。大変面白かった。 アカデミー作品賞を受賞した「ノーカントリー」、同候補作「ゼア・ウィル・ビー・ブラッ…

 貯蓄から投資へ(その2)

10年前の拙著に次のように書いた。「現在の筆者には、バブルの形成とその崩壊を体系的に整理する時間がないが、30年間銀行で働いている現場感覚でいえば、その最大の原因は、わが国経済が資金不足時代から資金余剰時代に変化したことへの認識と対応が不…

 貯蓄から投資へ(その1)

私は資産運用理論研究のプロであり、大学でそのような講義も教えている。いっしょにこの分野を研究したたくさんの後輩たちが、資産運用会社や投資ファンドの一線で活躍したり、大学で教えている。 しかし、それでも資産運用で大成功する自信は持てない。私が…

大学教育をどう考えるのか

前回に引き続き、大学教育を考えてみたい。 我国の重要な中期的課題の一つが教育問題であり、大学及び大学院教育であると考え始めてから久しい。例えば、10年ほど前に出版した本の中にも「アメリカの金融教育」の章を設け、ビジネス教育における日米間の圧…

専門職大学院

専門職大学院と言う言葉はやっとわが国でも定着したかに思われるが、専門職大学院で十分にその機能を発揮出来ている成功例は未だ極めて少ない。 1971年に社費留学生としてアメリカのビジネス・スクールに留学させてもらった時の驚きは未だ鮮明に覚えてい…

 ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

アカデミー賞候補になった作品で好きなジャンルの映画であり、遅ればせながら観に行った。期待を下回ることはなかったが、上回ることもなかった。 シンクレアの原作は知らないが、原作に引きずられて、映画としての焦点が絞り込めず、長くなり過ぎたように思…

「わが青春に悔いなし」

昨日、大学から帰ってテレビをつけると、黒澤明監督の「わが青春に悔いなし」が始まるところであった。あまり気にしたことがない映画であったが、奇遇であり観ることにした。 出だしから引き込まれてしまった。正義感が強く実行力のある「野毛」と、母親の言…

腰痛と社会

昨年の後半から、腰痛がひどい時がある。痛む時には、まさに体の要であり、生きて行くのが面倒になる。西洋医学は痛み止めの薬以外はほとんど無力と言ってもよいような状況で、腰痛経験者から教えてもらった種々の方法を試み、漢方薬で小康状態に入っている…

大いなる陰謀

連休の最後は、R.レッドフォードに敬意を表し、「大いなる陰謀」のレイトショーを観に行くことにした。映画の投資採算性 映画やDVDを観る前に、Yahoo映画サイトのユーザーレビューを見ることにしているが、本作の平均評価は3点弱と低い。但し、こ…

オタク文化と経済問題

岡田氏のオタク論 岡田斗司夫「オタクはすでに死んでいる」(新潮新書、2008年)を読んだ。コンテンツ産業、なかんずく漫画・アニメ関連に対しての経済的期待感が強く、経済産業省なども数々のプロモーションを行ってきた。漫画・アニメ関連の根底には「オタ…

孫娘そして幸福とは

始めて会った孫娘がロンドンに帰ってから1週間となり、やっと日常的な精神バランスが戻ってきた。1歳8ヶ月の可愛い盛りの孫娘が帰ると、恋人と別れたような気分になり、いないことが大変に寂しかった。恋人の場合、直ちに単なる他人の関係に変化しうるから…

サブプライム・ローン問題(その1)

最近、サブプライム・ローン問題が喧しく議論されている。しかし、これらの業務を長年にわたり担当してきた眼で見れば、その本質の理解はそれほど難しいことではない。 本質1:債務返済は、借入人ではなく担保不動産の値上がりが行うことになるという「新し…

GWの映画館

昨年4月、水曜日の午後6時開演であったが、駅から5分の映画館で、「どろろ」をたった一人の観客として観ることになった。柴咲コウのファンではあるが、本作は私の好みの分野ではなく、大宣伝に乗せられることもシャクだったので、見ないことにしていたが…

はじめまして

大学教授に転職してから、個人でホーム・ページやブログを作ることを薦めてくれる人もいたが、自己顕示の臭いが強すぎるので、見合わせてきた。 このところ、人生の残り時間があまり多くはなくなってきたと感じ始める等々、多少の心境変化があり、ブログを始…