社会問題

西部・佐高「学問のすすめ」

先日、仙台の古本屋で佐高信「タレント文化人100人斬り」を買い、帰りの新幹線+1時間で一気に読ませてもらった。この著者の代表作が何なのかは知らないが、辛口評論家と言われて、それなりに知られた存在ではある。ビートたけしや西部遵のように複数回…

国際感覚のリタラシー

前回は「金融リタラシー」を述べたが、最近の事例により「国際感覚のリタラシー」を考えてみたい。 先ず、オリンパスの事件である。エンロン、ワールドコム、リーマン等々、世界にはオリンパス以上に酷い強欲資本主義や企業統治の前例がたくさんあり、オリン…

鉢呂前経産相の「放射能つけちゃうぞ」発言は虚報だった!

10月3日に本ブルグで書いた日本のマスコミ報道の問題に関して、「ダイヤモンド・オンライン」にフリー・ジャーナリストの上杉隆さんが、下記のように「鉢呂前経産相の「放射能つけちゃうぞ」発言は虚報だった!」という題でコラムを書かれている。 上杉さ…

専門職大学院を崩壊させるな!

法科大学院を筆頭に「高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培うことを目的とする」文科系修士コースである専門職大学院制度が作られて8年になる。しかし、現状は満足な運営が行われているケースは少数であり、採算問題、就…

A.レボー「バーナード・マドフ事件」

リーマン問題の影に隠れてしまったが、マドフによる6兆円とも言われる金融詐欺事件は、現在の金融システムや現代アメリカ社会を考える上で、もっと注目されるべきだと思っている。ツンドクしてきた本書は、マドフ事件を取り上げた数少ない著作である。 本書…

「ソーシャル・ネットワーク」

仲の良いアメリカ人が誉めていたし、ゴールデン・グローブ賞を作品賞、監督賞、脚本賞、作曲賞の4部門で受賞、アカデミー賞の呼び声も高くなり、講義の話題としても使えるので、「ソーシャル・ネットワーク」を観に行った。確かに、悪くない映画であるが、…

「悪人」VS「インスタント沼」

上映中の映画「悪人」はモントリオール主演女優賞受賞が話題にならなければ、観に行かなかったかもしれない作品であるが、上映中は完全に映画に集中させられたという意味では良い映画だと思う。このように考えさせるものを持った佳作が、興行的にもヒットし…

自力救済

前回のブログがあまりにアメリカ一辺倒であるとのご意見もありましたので、バランスをとる意味もあり、反対の立場も述べたいと思います。下記は、ジョセフ・ナイ(JFケネディ・スクール名誉教授)が駐日大使の最有力候補と言われていた時期に頻繁に言われ…

「鉄の骨」と「勝者の呪い」

NHK土曜ドラマ「鉄の骨」を見た。ある程度の知識がある土木工事の談合の話なので、観るつもりがなかったが、第1回目を観た時に、談合即悪というステレオタイプに話を進めてないことを好感して、最後まで観てしまった。 公開入札方式は表面的・教科書的に…

「告白」

「オールド・ボーイ」「親切なクムジュさん」「チェイサー」「母なる証明」等々、良く出来ているとは思うが、あまりにも毒々しく血の臭いのたち込めた韓国映画は、病的社会を反映しているのではないかという不気味さを感じてしまう。日本では、このような映…

孫とiPhone,iPad

春休みに家内と久しぶりに長男の家に泊まった。9、6、2歳の男ばかりの3人の孫が居り、騒がしいが大変楽しかった。 2歳8カ月の三男がもっともウルサイわけであるが、これを黙らせる武器がある。iPhoneである。レストランなどに行って、静かに座らせてお…

サンデー・プロジェクト

田原総一朗の「サンデー・プロジェクト」が、本日限りでやや不自然に21年の放送を終了した。田原氏の直裁で下品な切込みが好きであっただけに、大変残念である。題材の選択の偏り、国際的な話題や文化的な問題に弱い等の弱点はあっても、一つの報道番組に…

しあわせの隠れ場所

観に行くかどうか迷っていた映画である。迷った理由は、観ている間は人間の善意に幸せを感じ、極めて後味も良い映画であろうことは、そのストーリーや配役の妙から予想でき、観ても新しい発見が少ないと思ったからである。少数の人が本作を「偽善は見るに耐…

年金もらい忘れご用心

3月7日付けの日経新聞にタイトルの記事があり、年金依存度の高い生活になってきているので、読むことにした。 「厚生年金に20年以上加入した人の妻は、夫が定額年金をもらい始めると同時に、妻が65歳になるまで加給年金をもらえるが、夫が請求していな…

良い年でありますように・・・

父が亡くなったこともあり、年賀状を失礼する年が続いています。昨年は、期待していた良いことが実現しなかったという意味で、あまり良い年ではなかったので、今年こそは良い年であって欲しい。 元旦の日経新聞のトップ記事「成長へ眠る力引き出す」を読み始…

N.N.タレブ「まぐれ」

著者N.N.Taleb氏の名前は “Dynamic Hedging :Managing Vanilla and Exotic Options”(1997)を購入した時期から印象に残っている。知られたトレーダーではなかったし、有名な投資銀行で働いていたわけでもなかったが、エキゾチック・オプションのトレーデ…

「沈まぬ太陽」

「沈まぬ太陽」は本格的社会派映画で、多くの人に観てもらいたい。モデルとされる日本航空との取引を担当していた時期もあり、知り過ぎていることもあるので、本欄の記述は相当に制約されたものになります。 映画の興行成績を意識してか、御巣鷹山事件にあま…

官僚達の夏

危機感を持ち始めたからか、力の入ったテレビ・ドラマが多くなったような気がする。城山三郎原作の「官僚達の夏」もその一つで、原作以上に古臭い印象を与える国士的官僚の活躍を肯定的に強調して描いている。「官僚支配から国民主権に」と言っている民主党…

NHKの存在意義

先日、福地NHK会長が出席されている勉強会で、「日本の文化水準の最低レベルの維持に、NHKの貢献と存在意義は極めて大きい。NHKが無ければ、日本国民のレベルは恐ろしいほど低いものなってしまうと思う」と不遜なコメントをさせていただいた上で、…

「A.スラムドッグ$ミリオネア」「B.トウキョウソナタ」&「C.闇の子供たち」

先ず、3作品の共通点を整理してみる。 ①私が見たいと思っていた映画で、期待を裏切らない佳作であったこと。 ②若い世代や子供の演技が素晴らしいこと。 ③ある国(A.インド、B.日本、C.タイ)に関して、外国人(A.イギリス人、B.オーストラリア人…

「北斗の拳」と苺

お歳暮に頂いた桐の箱に入った超高級イチゴを食べながら、録画したアニメ「北斗の拳」特集を見た。 「北斗の拳」は伝説的とも言うべき漫画で、某大手金融機関がそのアニメを映画ファンドとしたことから、一度は観ておこうと思っていたが、あまり気の進まない…

家族企業(ファミリービジネス)

教えることは教えられることでもある。「日経ビジネス」の最新号が、「家族企業の底力」という特集をしている。ゼミ生の卒論に、「ファミリー企業の強さとその中に潜む課題」というのがあり、私の指導は「『ファミリービジネス』という映画があり、悪党の話だ…

強欲資本主義

神谷秀樹「強欲資本主義 ウォール街の自爆」(文春新書)を一気に読み終わった。私の現状認識にこれほど近い内容の本も珍しい。このブログの「サブプライム・ローン問題」に関する記述を読み返していただくとお解かりいただける様に、私もウォール・ストリー…

運・不運

「人生は公正、公平ではない」と言われる。法定老人年齢の65歳になり、この意味をしみじみと感じる機会が増えた。年をとるほど、ついている人生とついていない人生の落差が大きくなる。 定年制度が一つの例で、この制度を残している組織で働いていると、働…

タダのオプション取引

オプションとは選択権のことで、日常的には自動車装備のオプションとか事務所スペース拡張オプションとかいった使い方がされている。 オプション契約の歴史は古代ギリシャないしメソポタミヤ文明まで遡ると言われるが、オプションにより厳密な意味を持たせた…

アカデミック・ハラスメント

大学で教え始めて4年半になった。学年末に学生が行う授業評価を参考にしながら、教え方の工夫をしている。これまでの評価は良好で、コメントも大半が納得できるものであったが、前期末の評価で「アカデミック・ハラスメントと言っても良い発言に注意してもら…

アメリカのカントリー・リスク

カントリー・リスクとは、海外投融資や貿易取引で、相手国の社会不安や政情不安、想定外の反応などのために資金の回収が不可能となる危険を指し、通常は発展途上国や独裁国家の問題であると考えられている。自由主義を国是とするアメリカは、カントリー・リ…

日米安全保障条約

原子力空母ジョージワシントンが横須賀に入港した。入港に反対してシュプレヒコールを繰り返している人も少なくない。私が大学生の時にも、横須賀への原子力潜水艦入港反対のデモがあり、参加するかどうか迷ったものである。長男の家族が葉山に住んでいるか…

レーマン放置、AIG救済は妥当である

サブプライム問題がこれほど大きくなるとは予想してなかった。メリル・リンチ証券をほとんど倒産にまで追い込んだ経営者が、数十億円の退職金を受け取るわけだから、アメリカのエリート経営者たちが、私利私欲のために会社をとことん利用しようとするのは当…

スカイ・クロラ

アニメ界のカリスマ押井監督に敬意を表して、観に行くことにした映画。難解そうだったので、珍しく予習までして観に行ったが、ほぼ予習したような映画であったので、行かなくてもよかったということかもしれない。 ①宮崎監督の「ポニョ」との比較で言えば、…