スカイ・クロラ


アニメ界のカリスマ押井監督に敬意を表して、観に行くことにした映画。難解そうだったので、珍しく予習までして観に行ったが、ほぼ予習したような映画であったので、行かなくてもよかったということかもしれない。
 ①宮崎監督の「ポニョ」との比較で言えば、思いつき・場当たり的な構成の「ポニョ」に比べれば、全体の構想には筋が通っているが、だからと言って話が理解しやすいということでもない。現在の若い世代の感じているムードは出ているように思われるが、どの程度の深い理解と普遍性があるか疑問ではある。平和ボケの島国の雰囲気が、徴兵制や実際に戦闘状態にある海外の人々に簡単に共感されるとは思われない。
 ②素人の感覚としては、戦闘シーンに感心はするものの、アニメの絵画は稚拙な感じがあり、美しさを感じることが出来なかった。この点では「ポニョ」が遥かに素晴らしい。
 ③「ポニョ」は観た途端に、善きにしろ悪きにしろ理解でき反応できるものがあるが、本作は今でも咀嚼中であり、何を言おうとしているのか、本物か偽者か判断が付かない点も多い。同じ料金で観た映画であるから、考えさせられてしまう本作の方が長い時間楽しめるということかもしれないが・・・
 ④何れにせよ、理解出来ないながら、鳥肌が立つほど感激した押井監督の「GHOST IN THE SHELL」や「イノセント」の面白さやインパクトはない。

 北野作品は観てないが、誤解されてある程度の評価を受けることになるのかもしれないが、この2作程度の作品しかベネチュア映画祭に出品できないと言う現状はさみしい。