サンデー・プロジェクト

 田原総一朗の「サンデー・プロジェクト」が、本日限りでやや不自然に21年の放送を終了した。田原氏の直裁で下品な切込みが好きであっただけに、大変残念である。題材の選択の偏り、国際的な話題や文化的な問題に弱い等の弱点はあっても、一つの報道番組に全てを期待することは出来ないので、国内の政治家に扇動的な質問を浴びせ、テレビというメディアの長所を活かし、言動や表情をクローズ・アップする番組の個性は貴重であり、続けて欲しかった。

 何故、不自然に終了するのか知りたかったので、検索すると次のような説明に行き当たった。
サンプロを止めた後にどんな発展的な企画を提起するかの責任がテレビ朝日にはあるはずだが、そんな考慮は何一つないまま、朝日新聞出身の君和田正夫会長(前社長)の「田原嫌い」ゆえの番組打ち切り指令に、初のテレビ朝日生え抜き社長の早河洋は唯々諾々と従った。」(高野孟「極私的情報曼荼羅」)高野氏は、「サンプロ」の当初からのレギラーであり、ここまで言うからには信憑性も高いだろう。
 田原氏自身は次のように言う。「番組をなぜやめるのか、納得のいく説明は聞いていません。ただ、結局、僕と局の関係はいわば買い手市場で、僕が納得しないと言っても決定権は局にあるわけです。番組の視聴率は落ちていなかったのになぜやめるのか。噂では、僕のギャラが高いからとか、制作費がかかりすぎているからとか言われているようですが、それは違うと思います。僕はギャラのことで局に何かを要求したことはないし、「サンプロ」は政治家の出演が多いので制作費の面では効率が良かったと思います。政治家は芸能人に比べてギャラは安いですからね。もしそれでも制作費を安くしたいのなら、特集をやめて討論だけにすればいいんです。でも、そういう話もなかったですからね。だから結局、局の方針が変わったということでしょう。」(「創」3月17日)
 
 ここから透けて見えてくる事情で、生々しい権力者や時の人の息遣いを垣間見せるような「サンプロ」が終了させられたのであるとすれば、社会的影響力もあり、実績を重ねて自信をつけた田原氏をして始めて可能になる番組であるだけに、本当に残念である。テレビ朝日はもっと愚劣で下品な番組をたくさん放映しているし、田原氏が嫌いであれば、観なければ良いだけの話しであるから、視聴率8%の番組を好きな人が観る権利を、電波公益事業のテレビ会社の一介の経営者が奪うことは許されないのではないだろうか。