政治

古賀茂明「日本中枢の崩壊」

時の人である古賀茂明さんが経済産業省を退職されたのを機会に、積読になっていた「日本中枢の崩壊」を拝読した。感想を一言で言えば、予想外のことがほとんど書かれていない陳腐な内容で、国内の政治家と官僚のことにしか触れてない視野の狭い本。この程度…

精神を病む政治家達

「大統領はペイに見合わない激務であるから、大統領になろうとは思わない」という意見のアメリカの子供が過半を越えたと報道されたのは、相当に昔のことである。日本の総理大臣も、難問や解決不能の問題が山積みの現状で、公表された収入しかないのであれば…

言うまいと思えど今日の・・・

蒸し暑い不快な日々が続いている。これだけお寒い政治状況と原発危機が続いているのだから、多少涼しく感じても良いはずであるが、菅内閣の迷走が不快感を大幅に増幅している。 二世、三世のお坊ちゃま達が、ダダをこねて首相の座に座ってみたものの、能力を…

福島原発事故

次のEメールは、New Yorkの小学4年生の孫(世資弥)が同じく4年生の日本の孫Jo(丈)に宛てて、3月11日に送ってきたものである。IQが高いGifted ChildであるYoshiyaは、特別の小学校で教育を受けているが、3月11日に既に原発のポンプ故障による核燃…

「東京原発」

突然、事故のレベルがチェルノブイリ同様の7に引き上げられたり、「東電の福島原発では、事故収拾の道筋は依然として見えない」という表現が枕詞になってきた等々、どうもこの事件では思った以上に情報が操作されていると感じはじめたので、情報通に参考情…

重要性の原則

会計原則のひとつに「重要性の原則」というのがある。会計処理の効率性、迅速性などを担保するべく、金額が少額であるといった観点から判断に重要な影響を与えないと考えられる取引については、会計処理を省略するとか簡便な方法に従うことを認めるという考…

川島博之「農民国家・中国の限界」

昨日、期せずして「農民国家・中国の限界」を書かれた川島博之さんの講演を聞く機会に恵まれた。年末の当ブログで「日本の過去は中国の将来像?」として、私の経験と直感から中国問題を述べたが、川島さんがもっと体系的な分析を踏まえて類似の結論を導かれ…

日本の過去は中国の将来像?

また馬齢1年を重ねてしまった。年末にあたり、個人的問題以外でもっとも気になることを述べるとすると、中国のこれからということになる。 中国が過大に評価され過ぎた年であったが、わが国に100年以上遅れて近代化を始めたわけで、世界を指導するにはほ…

国家・民族と個人

先日、来日したばかりのアメリカ人から「あなたが総理になって、いったい日本の何が変わるの」という唾棄すべき題名の本について聞かれた。私はこの本を読んでもいないし、触ってすらいない。内容など二の次で、このタイミングで出すべき本ではない。「お母…

藪中三十二「国家の命運」

構えてしまうような題名の本ではあるが、仙台との往復で読めてしまう新書である。しかし、何様か解らない連中が売らんがために世の流れに迎合して書いた小遣い稼ぎの本ではなく、事務次官まで務めたプロ外交官の書かれた物であるから、それなりの敬意を持っ…

真山仁「ベイジン」

中国問題を考える材料にツンドクとなっていた真山仁「ベイジン」を読んだ。読み出したら止められない面白さであったが、無理やりエンディングに持ち込まれた欲求不満と残尿感が残っている。日本の技術で中国に巨大な原発を建設し、北京オリンピックの開会式…

尖閣ビデオの流失

流失した尖閣ビデオの内容は、海上保安庁の現状や艦艇の損傷状況から予想した線のものであった。主権在民で、国民の一人としての主権者である私としては見てみたいと思っていたし、公開すれば多分中国漁船の傍若無人の振る舞いが確認され、日本に有利な国際…

中国問題再び

新学期のスタートや「東京国際映画祭」などでバタバタして、ブログの更新が出来なかったが、この間に中国問題が想定していたような展開を見せてきた。本日も、「中国側の申し入れで、ハノイの日中首脳会談が見送られた」と報じられ、今しがた「菅首相と温家…

外交敗戦

尖閣問題を考える参考に、ツンドクになっていた手嶋龍一「外交敗戦 130億ドルは砂に消えた」を読んだ。 ここ半年で、「ウルトラ・ダラー」「スギハラ・ダラー」と手嶋さんの本を3冊読んだが、本書がベストである。何方かが「小説は無駄な情景描写が70,8…

対中国制裁試案

25日の「元の切り上げや自由化をしないのであれば、日本とアメリカは国債を中国には売らないことにする」という意見が理解出来ないと言われたので、少し詳しく説明します。この意見はD・グロス欧州政策研究センター所長がWSジャーナルに投稿されたもの…

尖閣諸島問題

昔、ニューヨークで働き始めてすぐに気が付いたことは、ニューヨークではこちらが押し続けていないと押されてしまうということである。香港の怒鳴り合いと押し合いはもっと酷い。国際関係の仕事ではこれがグローバル・スタンダードで、こちらが譲歩したこと…

自力救済

前回のブログがあまりにアメリカ一辺倒であるとのご意見もありましたので、バランスをとる意味もあり、反対の立場も述べたいと思います。下記は、ジョセフ・ナイ(JFケネディ・スクール名誉教授)が駐日大使の最有力候補と言われていた時期に頻繁に言われ…

「カティンの森」は現代日本の問題

2008年7月5日のブルグに、アンジェイ・ワイダの映画「カティンの森」について書いているが、やっと観ることができた。家から5分のユナイテッド・シネマが単館系の話題作を1周遅れの割り料金で観せるプログラムを始めてくれたので、大変助かっている…

佐藤優「国家の罠」

鈴木宗男有罪確定を機会に、積読になっていた本書を読むことにした。5年も前から評判になっていた本書をなかなか読む気にならなかったのは、直感的に信用できる本ではないと感じていたことと読みにくい文章であったことによる。「講釈師、見て来た様な嘘を…

コップの中の嵐(3)

民主党代表選挙で菅総理が大勝した。国会議員に限った得票比率はほぼ拮抗していたが、選挙を仕切った小澤幹事長が西も東も分からないような新人議員から受けた恩返し得票を差し引いて考えれば、予想以上の大勝と考えられる。軒を貸しただけの民主党が、薄汚…

コップの中の嵐(2)

この間まで政治家との接触が多かった財務省OBを含む6人での晩飯懇談会があり、最近の一連の出来事から菅総理が予想以上に軽い人物であるとの結論で一致した。例えば、笑い顔が人間の一面を巧まず示すものだとすれば、鳩山さんの笑い顔には周囲に気を使い…

またもやコップの中の嵐

菅民主党は、鳩山前首相の暴君小沢一郎氏と心中するという大功績(6月4日ブログ)を活かすことが出来なかった。大変残念である。民主党敗北の原因は、菅首相が消費税問題を不用意に持ち出したことにあると言われるが、私はそうは思わない。国民の過半は、…

鳩山首相の大功績

また一人、首相が失脚した。二世、三世のお坊ちゃま達が、ダダをこねて首相の座に座ってみたものの、能力を超えた激務に耐え切れず、玩具を投げ出すように退陣を重ねてきた。職を投げ出しても立派に食べられるお坊ちゃま達が羨ましが、国民は大いに迷惑でも…

ブラック・ジョーク

あるブログからのコピペであり、出所は霞ヶ関との噂であるが、この位うまいジョークになると、紹介したくなってしまう。「日本には謎の鳥がいる。正体はよく分からない。中国から見ればカモに見える。米国から見ればチキンに見える。欧州から見ればアホウド…

サンデー・プロジェクト

田原総一朗の「サンデー・プロジェクト」が、本日限りでやや不自然に21年の放送を終了した。田原氏の直裁で下品な切込みが好きであっただけに、大変残念である。題材の選択の偏り、国際的な話題や文化的な問題に弱い等の弱点はあっても、一つの報道番組に…

ハート・ロッカー

前から観に行くことにしてはいたが、アカデミー賞受賞ということで映画館にすっ飛んで行った。「アバター」は見世物として高く評価するが、アカデミー賞は取って欲しくないので、受賞した本作が予想以上の秀作であることが確認でき、納得できた。 アメリカが…

フロスト×ニクソン

見損ないの映画を観るために、正月に借り溜めしたDVDのひとつが「フロスト×ニクソン」。 ウォーター・ゲイト事件時に、アメリカ留学中であったが、残念ながらフロストVSニクソンの対決は見損なった。家内を含めリベラルなアメリカ人に囲まれていたことも…

岸田秀「唯幻論」

民主党新政権の対外政策の迷走は、岸田秀の「唯幻論」を思い出させてくれる。 岸田の考えは、体系的な思考というより思いつきと言った方がよいが、「日本は精神分裂病的である」「ペリーの来航を切っ掛けに、鎖国と言うナルチシズム的自閉症から、いきなり苦…

「沈まぬ太陽」

「沈まぬ太陽」は本格的社会派映画で、多くの人に観てもらいたい。モデルとされる日本航空との取引を担当していた時期もあり、知り過ぎていることもあるので、本欄の記述は相当に制約されたものになります。 映画の興行成績を意識してか、御巣鷹山事件にあま…

官僚達の夏

危機感を持ち始めたからか、力の入ったテレビ・ドラマが多くなったような気がする。城山三郎原作の「官僚達の夏」もその一つで、原作以上に古臭い印象を与える国士的官僚の活躍を肯定的に強調して描いている。「官僚支配から国民主権に」と言っている民主党…