「東京原発」

 突然、事故のレベルがチェルノブイリ同様の7に引き上げられたり、「東電の福島原発では、事故収拾の道筋は依然として見えない」という表現が枕詞になってきた等々、どうもこの事件では思った以上に情報が操作されていると感じはじめたので、情報通に参考情報を聞いてみた。

 先ず、反原発運動家として知られる京都大学原子炉実験所助教小出裕章さんのインタビュー(http://www.ustream.tv/recorded/13897618?lang=ja_JP)を観ることを薦められた。1時間を越えるインタビューであったが、明快かつ平易な説明で大変参考になった。活字情報ではなく、話し手がどのような雰囲気や態度で説明されたかが一目できる画像情報であることは、小出さんの説得力を一層増すように作用し、マスコミが伝えてない最悪シナリオなどの説明もあり、現状への緊張感が高まってしまった。最悪の展開となり、動きが取れなくなる前に、取り合えず孫3人とイギリスの女房のところに避難すべきなのかもしれない。余震が続くことも気になる。地震にしても原発にしても、本当のことを言ったら国民がパニックになるから情報を抑えているとの疑念も拭えない。

 いろいろ検索しているうちに、「東京原発」という映画が2002年に制作され、しかもhttp://www.youtube.com/watch?v=oIRSk45ea0Y&playnext=1&list=PL5ECCD04F5C7A2E2Bで観る事が出来るので、タダで観てしまった。役所浩司ほかなかなかの出演者であることもさることながら、非常に良く出来たブラック・ヒューモアの傑作であり、現在の状況を考えると恐ろしいほど洞察力に富み、的確な警告を発していた映画である。原発映画というと、J.フォンダ主演の「チャイナ・シンドローム」がスリーマイル・アイランド原発事故を予言したことで知られるが、「東京原発」も勝るとも劣らないくらい良く出来た映画である。私の記憶に無いくらいの映画であるから、興行的には失敗であったのであろうが、いま観てもいろいろ参考になるし、ブラック・ユーモアが悲しいほどに面白い。国に滅ぶとも、この映画はぜひ生き残り、滅びてしまった日本民族が2002年に既に福島原発事故を予見し、ブラック・ヒュモアの傑作映画を制作していたという歴史的証拠品として、大英博物館に保存して欲しい。
 この原発危機をなんとか乗り越えて欲しい。