ハート・ロッカー

　前から観に行くことにしてはいたが、アカデミー賞受賞ということで映画館にすっ飛んで行った。「アバター」は見世物として高く評価するが、アカデミー賞は取って欲しくないので、受賞した本作が予想以上の秀作であることが確認でき、納得できた。
　アメリカが正義の戦争を戦っているのなら、同盟国でありながら日本はほとんど何の協力もしてない。燃料補給船すら引き上げてしまった。沖縄から出て行けとすら言っている。この映画は、仮に正義の戦いであったとしても、アメリカがこれだけの犠牲を払う必要があるか否かを問い直しており、正義の戦争からアメリカが手を引いた場合、日本は悪党どもに追従笑いをし、奴隷となることを甘受するのであろうか？
　イラク戦争が、石油利権やエンロンのスキャンダル化を避けるといったブッシュの無責任な動機と情報収集ミスで始まった義の無い戦争であるなら、アメリカの犠牲はあまりに大きく、アメリカは手を引くべきであると語りかけている。同盟国でありながら日本はまったく見解表明をしていない。
　真実がどちらにあろうとも、サスペンス映画のように２時間他の事を忘れてイラクの戦場に引きずり込み、イラク戦争の意味を問いかける秀作であり、平和ボケの日本人にも問いかけてくるものがある。
　映画は単なるエンターテイメントに終わるべきではない。作り物になりすぎた「アバター」ではなく、本作がアカデミー賞に輝き、より多くの人に観られることになるのは、大変結構なことだと思う。