自力救済

 前回のブログがあまりにアメリカ一辺倒であるとのご意見もありましたので、バランスをとる意味もあり、反対の立場も述べたいと思います。下記は、ジョセフ・ナイ(JFケネディ・スクール名誉教授)が駐日大使の最有力候補と言われていた時期に頻繁に言われた観点です。
 ジョセフ・ナイの「対日超党派報告書Bipartisan report concerning Japan」は、かつてCIAを統括する米国大統領直属の国家安全保障会議NSCの議長で(クリントン政権)、後に安全保障担当の国防次官補であったジョセフ・ナイが、米国上院下院の200名以上の国会議員を集め作成した対日本への戦略会議の報告書で、その内容は次のように伝えられています。

1、東シナ海近辺には未開発の石油・天然ガスが眠っており、その総量は世界最大の産油国サウジアラビアを凌駕する分量である。米国は何としてもその東シナ海のエネルギー資源を入手しなければならない。

2、そのチャンスは台湾と中国が軍事衝突を起こした時である。当初、米軍は台湾側に立ち中国と戦闘を開始する。日米安保条約に基づき、日本の自衛隊もその戦闘に参加させる。中国軍は、米・日軍の補給基地である日本の米軍基地、自衛隊基地を攻撃するであろう。本土を攻撃された日本人は逆上し、本格的な日中戦争が開始される。

3、米軍は戦争が進行するに従い、徐々に戦争から手を引き、日本の自衛隊と中国軍との戦争が中心となるように誘導する。

4、日中戦争が激化したところで米国が和平交渉に介入し、東シナ海日本海でのPKO(平和維持活動)を米軍が中心となって行う。

5、東シナ海日本海での軍事的・政治的主導権を米国が手にする事で、この地域での資源開発に圧倒的に米国が開発の優位権を入手する事が出来る。

6、この戦略の前提として、日本の自衛隊が自由に海外で「軍事活動」が出来るような状況を形成しておく事が必要である。

 以上のように、米国は日本を使い捨てにする計画である。そして、この計画の下に自衛隊の海外活動が「自由化」され始めている。


 日本と中国に殺し合いを行わせる戦略は、日本の次に韓国や中国といった黄色人種がのさばってきているのだから、声高に言わないまでも「黄禍論」が意識され始めているだろうことは、知っておく必要があろうし、「黄禍論」を踏み台にすれば、上記の報告書(原文は確認しておりません)の内容はその一部にしか過ぎない。日米安保条約を前提とすれば、日本はアメリカ製の武器を、中国はヨーロッパ製の武器をつかって殺しあえば、落ちぶれてきた欧米諸国にはより好都合かもしれない。また、CIAを筆頭に日本に対するたくさんの情報操作が行われていて当然でもあり、状況の判断は簡単ではなく、私は自分の経験を判断の基礎としており、それなりの国際経験による意見をお伝えしようと考えて、このブログも書いています。

 「黄禍論」もさることながら、同時にアメリカは回教徒かもしれない有色人種を大統領に選んだ国であることを忘れるべきではない。また、朝鮮、ヴェトナム、アフガニスタンイラクを見れば、アメリカは対日戦争以降まともに勝利出来ていない国であり、日本はアメリカに盲従するべきであると言ったつもりはない。しかしそれでも、中国やロシアよりは遥かにアメリカがベターなパートナーだと考えると言うことを自分自身の経験から申し上げているに過ぎない。
 究極は、自分のことは自分が守る自力救済である。