NHKの存在意義

先日、福地NHK会長が出席されている勉強会で、「日本の文化水準の最低レベルの維持に、NHKの貢献と存在意義は極めて大きい。NHKが無ければ、日本国民のレベルは恐ろしいほど低いものなってしまうと思う」と不遜なコメントをさせていただいた上で、「映画・映像コンテンツ産業の育成にもご尽力いただきたい」とお願いした。
 8月9日から3回にわたり放映された「NHKスペシャル 日本海軍400時間の証言」も素晴らしいドキュメンタリー番組であった。戦後秘密裏に行われていた「海軍反省会」の議論に基づき、帝国海軍が、長期ビジョンもなく、当面を糊塗するような命令を出し続け、大きな失敗を招いてしまったことを抉り出し、その体質が現在のわが国や大企業に十分な反省無く引き継がれているように思われるとまとめている。秀逸なドキュメンタリーであり、体制擁護になりがちな準国営放送がこのような問題を取り上げたことの意義は極めて大きいと考える。無名に近い俳優をスターにしてしまう影響力を持った日曜日のNHK大河ドラマに引き続く時間帯での放映だけに、意義深いものがあったと思う。衛星放送の契約を含めた月額料金で、映画を1人で2回観る料金を下回っていることは大変割安であると思う。
 欲を言えば、30分ごとの天気予報や朝から米国野球を観たくはない、ニュース番組のテンポを早くして欲しい、よい人材がいるのであるから品のないキャラクターや人を小馬鹿にしたような態度のキャラクターを多用しないで欲しい、経費の無駄使いはやめて欲しい、韓流ドラマをてこ入れし過ぎないで日本の映像作家を育成して欲しい、等々の不満や要求はあるが、これらを考慮してもNHKの存在意義は大変重要で、十分に正当化できると考える。