山梨日立建機 雨宮清社長

 テレビ番組の長時間録画が可能になったので、見逃さないように必ず録画することにしている番組が幾つかある。村上龍の「カンブリオ宮殿」もその一つである。「毎日が日曜日」とまでは行かないが、「必要あれば連休可」という立場になったので、本物の連休の混雑を避けて、録画ビデオやレンタルDVD、古新聞や雑誌を見たり読んだりしている。
 今回の「カンブリオ宮殿」は、山梨日立建機 雨宮清社長で、既にご存知の方もおられるのであろうが、私は初めて雨宮氏の存在を知り、大いに感じ入った。地雷除去機械の開発と活動を通じて、「本業を通して社会に貢献する」企業として、利益確保と社会貢献の両方を実現されている見事な経営で、これからの日本企業の進むべき方向を見せてくれたように思う。
 銀行を辞めるときに、社会起業を勉強し、自分でも何か始めてみようと思っていたが、なかなか難しい。ほぼ同世代の雨宮氏は、中学しか出ていないたたき上げの苦労をされているが、より良い明日を信じて生きてきた同じ日本人世代で、一歩一歩道を拓いて今日まで来られた。昨日は「素晴らしい若者達よ!」としたが、今日は「素晴らしい老人を目指して」という気分である。雨宮氏の「地雷原で死にたい」という気持ちも良くわかる。
 古い体質のダメ日本企業の代表のように言われる「日立」ではあるが、若者の生血を啜るような新興企業、ゼニ儲けであれば何でもする企業など気にせずに、日立の良さ、伝統的な日本企業の良さを示して欲しい。今後は、多少値段が高くとも、デザインがヤボでも、「日立」製品を買うことにしよう。好感度世界第2位と言ったアンケート結果もある日本は、その田舎者技術国家の人の良さという特質を生かすとすれば、山梨日立建機の道が、日本企業の目指すべき独自の方向かもしれない。