またもや「円預貯金者」の勝利

 大学で「証券投資分析」を教えたり、証券アナリスト協会の役員もしているので、またもや証券投資で損をしましたとは言いづらい。
 「敗者の条件」という本があるが、投資市場の過半の取引は年金運用や投資信託といったプロが請け負っているので、市場平均はプロの平均値に限りなく近づいてくるから、市場平均運用率を下回るプロがたくさん存在するのは当然である、というご意見が書いてある。
 「市場効率仮説」という考え方があり、たくさんのプロが常時観察している金融商品の価格は、ほとんどの情報を直ちに折り込んでしまうので、プロが選んだ銘柄でも犬や猫が選んだ銘柄でも、どちらが割安とか割高とは言えない、という考え方である。
 したがって、大学教授が損を出しても臆する必要はないが、老後資金が減ったのは真に辛い。

 ユーロがここまで狼狽売りされるとは思っていなかった。ファンダメンタルの良い豪ドルがキャリーのロング・ポジション解消でここまで暴落するとも思ってなかった。PERが20倍を下回り始め、超低金利の日本市場でPBRが1以下で高配当の銘柄が更に下値を模索するとは何事だ。

 何もしないで、全部円預貯金にしておけば良かった。ユーロ建で見ると、私の資産は増えているわけで、イギリス人やヨーロッパの人の目から見れば、日本人はまた金持ちになったわけである。にも拘わらず、日本はダメであると信じている。
 数年前に、「お金は銀行に預けるな」と言って投信を煽った破廉恥な人の大きな鼻の穴を思い出してしまった。プラザ合意以降、日本の預貯金者の勝利が続いているわけで、もの言わぬ日本人の判断力は素晴らしいことになるのよ、オバサン。