たかがボールゲーム

 あと2時間でW杯の対オランダ戦が始まる。多分、大敗することであろう。間違って勝ったとしても、オランダは人口15百万人の小国に過ぎないから、日本が勝っても本当は驚くべきではない。
 小学校の時は、夏は野球、冬は蹴球をやったものだ。1年先輩に犬飼さんがおり、中学に入ると基昭ちゃんはサッカー部に、私は野球部に入った。野球部には加藤さんという速球と凄く曲がるカーブを投げるエースがおり、手が小さい私は野球ではとても大成しそうにもなかったので、受験勉強でもしようということで2年生半ばで退部した。犬飼さんは、高校でもサッカーを続け、ユースに選ばれ、慶応から三菱重工までサッカーを続けられた。浦和レッズの経営に手腕を振るわれ、現在は日本サッカー協会の会長をされている。小学校時代のサッカーの力は同じくらいであったのに。
 浦和は昔からサッカーが盛んであったが、日本ではマイナー・スポーツであった蹴球をここまでメジャーにしたJリーグという起業は途轍もない成功事例で、何の魅力もない相撲や爺さんスポーツの野球が消滅しないことと並んで、日本スポーツ界の奇跡である。そもそもオリンピックで金メダルがとれない国が何故スポーツで大騒ぎをするのかが、不思議である。TVニュースでデンマークの女性が「日本人はスポーツが苦手なようだから、W杯でデンマークが負けることはない」と言っていたが、客観的にはその通りであろう。
 ユダヤ人がスポーツに負けて自信を失ったという話を聞いたことがない。オランダに予定通り大敗しても、たかがボールゲーム、日本人は自信を失うことはないし、基昭ちゃんも責任を感じる必要はない。日本人の強みは別のところにあるはず。上述のデンマーク女性は続けた「日本のことで知っているのは、自動車、テレビなどの物作りが上手いこと、スシや漫画のようなユニークな文化を持っていることです」
長所を伸ばすことこそ、教育の基本です。