読むと損する本

 読んで損したと思った本が2冊続いたので、私がAmazonに書いたレビューをご紹介したい。

①山下真弥「ハーフはなぜ才能を発揮するのか」(PHP新書)
(中身のいい加減さに愕然とした) 
アメリカ人とイギリス人のハーフである愚妻と、既に30代になった3人のハーフを育て上げたので、本書のタイトルには強く興味を持った。
 しかし、題名は偽りで、簡単に面談できる12人のミックスの話を紹介した後に、希釈剤として未熟な日本文明論を混ぜ、おまけに独断的なJ.アタリを引用して締め括っている安直な本。アジア系のミックスが苦労していることを記述しながら、「ハーフはなぜ才能を発揮するのか」という題名はありえないと思うし、ダッシュビルを始めとする「才能を認められたハーフ」や海外に流出してしまった才能あるミックスの話を聞かずして、この題名はないと思う。
 私の方がこのタイトルで遥かに中身のある本を書くことができると思う。私の「才能を発揮している3人のミックス」の共通の認識は、「今の日本文化は偽者が幅を利かせる安っぽいもの」ということで、本書もその類である。3人の子供の内、2人は日本を離れてしまった。日本人の親としては大変残念なことである。
 蛇足であるが、他の方が「トライリンガル」の誤りを指摘されているので、明らかな間違いをもう一例紹介すると、バークレーにあるのは私が留学した「カリフォルニア大学バークレー校(キャンパス)」であり、「バークレー大学」は存在しない。

②マックス桐島「ハリウッドではみんな日本人のまねをしている」(講談社プラスアルファ新書)
(我田引水の流言蜚語)
 アメリカを中心に国際ビジネスを40年近く経験し、映画ビジネスも多少承知している人間としては、本著はあまりに強引に日本の我田に引水している短絡的な流言蜚語にしか思われない。