祇園祭り宵山

 昨日は京都祇園祭りの宵山で、NHKが長時間中継をやっていたので、観てしまった。
「中京区姉小路新町角」というのは、「柏屋光定」という屋号で何代にも亘りやってきた京菓子の家業の店があったところである。親父の代で番頭さんに暖簾をゆずり、もうその住所に住んでいる親戚も無くなってしまった。京都の伝統的な町屋であったことをうろ覚えにしており、小学校4年生の春休みに京極で迷子になり、この住所を頼りに戻ったので、忘れることがない。次男であった父は、東京に出てきてサラリーマンで婿養子になってしまい、京都人の無駄なことは話さない性格もあり、私が自分を京都人と思ったことはなかった。しかし、歳を経るに従い、もっと京都人であることにこだわった生き方をした方が良かったのかもしれないと思われてきただけに、NHKの中継で新町通りが映ると他人事のようには思われなかった。
 私の子供が小学生であった時に、番頭さんがやっている「柏屋光貞」を見せてもらったことがあった。冗談半分で、「家業を継ぎたいのなら、光貞さんに弟子入りをお願いしてみる」といったが、半分ガイジンの子供達には興味がなかった。幸い、私の長男のところには3人の男の孫がいるから、そのうち家業を見せて、弟子入りする興味があるかどうかを確認してみたい。世界を広く見ることの出来た人生ではあったが、伝統的家業というのは自分の原点なのかもしれない。死に場所は京都なのかもしれない。