小人閑居して何もせず

 帰国時の時差調整に失敗したせいか、はたまた、日本の残暑が厳しいせいか、大したことをしないまま時間ばかりが過ぎて行く様な感じである。大学の後期授業の開始も再来週で、自由になる時間が多い時期で、将に小人の閑居である。「自由からの逃走」ではないが、ある程度、社会や対人関係で拘束される時間が多い方が、効率良く物事が処理できたようにも思われてくる。
 古くからの友人の家で、手作りの夕飯をご馳走になり、楽しい世間話をして帰宅したところだが、このような予定をたくさん入れて、思い出の写真集を整理するような老人生活にはなりたくない。まだまだ研究したり本にまとめたいことがたくさんあるし、死ぬまで読み続けても読みきれないだけの本の在庫もある。時間の足りなかったサラリーマン時代には望むべくも無かった生活ではあるが、小人閑居して不善をなす生活にもっと緊張感を取り戻したいと思う。龍馬は、「ドブの中でも前を向いて死にたい」と言ったそうであるが、小人は孤独を恐れ、本当に打ち込むべきことに集中できないのであろうか。