株主優待制度への疑問

 株主総会のシーズンが終わり、配当金の支払いとともに株主優待制度を改めて実感させられているが、この制度には大きな疑問と矛盾を感じる。理論に従い小口分散投資を専らとしているから、いろいろな株主優待制度があることに気付かされる。

 先ず、株主優待制度の故に、株を売却することにした例をいくつかお示しする。
(1) 所有ゴルフ場への割引券:腰を悪くしてからゴルフはやめているから、ゴルフ場への割引券を自分で使うことはないし、友人にあげるのには、嫌味にならないような釈明が必要なようで面倒である。金券ショップが買い取らないことも確認した。使う当てのない入場券や割引券は、その分損失を蒙ったような気がして、大変気分が悪い。鉄道の割引券のように、使う可能性が高いものでも利用し忘れないように気を使わされる。株主平等の原則に反するような気もするし、金券ショプが買い取らない入場券や割引券は、株主優待制度に利用すべきではない。
(2) はた迷惑な贈答品:ある薬問屋が、トイレット・ペーパーとティッシュ・ペーパーを大きなダンボール箱で送ってきた。トイレット・ペーパーにも高級ブランド品があるということを勉強出来たが、これ以上ガサバリはた迷惑な贈答品は多くはないだろう。怒りを感じると同時に経営者のセンスの無さにも驚かされ、株式は直ちに売却した。無駄な物流を環境問題と考えると、中元・歳暮ですら悪しき慣行になりつつあるわけで、はた迷惑な贈答品を送る企業の株式は売却すべきである。
(3) 欲しくない自社製品:その企業の製品は嫌いであるが、株式は割安と判断する場合がある。飲みたくもない飲料や食料品、その引換券を送られても迷惑である。

 以上のように考えれば、自分が必要とする物やサービスに簡単に変えられる「おカネ」がもっとも理に適った株主優待手段であることは明白であり、最近の株主優待制度は子供だましの欺瞞である。それどころか、機関投資家や外国人投資家が株主平等の原則に違反すると主張した場合、反論出来るのであろうか?当局の見解を伺ってみたい。