フレディマックとファニーメイ

 今日の日経新聞の三分の一が米国住宅抵当公社2社の公的支援問題に当てられている。新聞に書かれてないことで、それなりに意味を持つと思うことを列挙すると次のようになる。
(1)この2社以外に、米国住宅ローン証券化の公的保証機関として、GNMA(Government National Mortgage Association,政府抵当金庫、ジェニーメイ)があり、この機関は米国政府の機関であることから、ジェニーメイによる保証は正真正銘の政府保証である。
(2)これに対して、フレディマックファニーメイは「暗黙の政府保証」と言われているが、正確には米国政府が両社それぞれに22.5億ドルの与信枠を供与し、大統領による取締役の任命など米国政府の特別な保護観察下にあることから、GSE(政府支援機関)と位置付けられていることを指しているに過ぎない。この政府との契約関係を前提として、2社は株式を上場し、株式価値最大化を目標に運営されて来た。
(3)数年前から住宅抵当公社2社に関しては、金利リスクを取り過ぎているので、AAA格債券とは考えるべきではないし、2社の債券を買い過ぎない方が良いという話が事情通の間には流れており、サブプライム住宅ローン問題だけで、急速な経営悪化が引き起こされただけではないと推測される。期限前返済権付長期固定金利の住宅ローンの金利リスク管理は、大変に難しい上に、CMOと言った加工商品の残高も多く、全貌を把握することは先ず不可能と言ってよい。
(4)上記のような筋論が米国内で指摘され、米国政府の対応が遅れると、この2社が関係する金融・証券取引があまりに多く、しかも複雑であることから、グローバルな金融市場の混乱が深刻化することが懸念される。
(5)米国政府は、「暗黙の米国政府保証取引」として、世界中から米国住宅市場に資金を引き込んできたわけであるから、政府とこの2社との契約や、この2社内部で繰り広げられたであろう強欲資本主義の経営責任を云々するのではなく、直ちにこの2社の債務は米国政府の債務と見なすことを解り易く宣言すべきである。