「ポケモン」と「鉄コン筋クリート」

映画の勉強を続けているが、アニメにはあまり興味がなく、十分にはカバー出来てない。夏休み始めの連休に、7歳と5歳の孫に付き合い、映画に行くことにした。子供で混んでいるはずで、「ポケットモンスター」の最新作か「崖の上のポニョ」のどちらかにあまり待たずに入場出来るのであればということで出かけた。私はどちらもあまり観たいわけではないが、子供向けの映画がどのように営業されているのかは見ておきたかった。横須賀の初めて行くシネコンであったが、競合先がない立地で相当な込みようだったが、30分待ちで「ポニョ」、1時間20分待ちで「ポケモン」に入場可能であった。孫たちは、迷いなく「ポケモン」を選択し、持参したニンテンドーDSにキャラクターをダウンロードしてもらうとか言うことであった。スパゲッティとアイスクリームを食べ、本屋で時間をつぶせば、この程度の待ち時間はあまり苦痛にはならない。
 観客席はほぼ満席で、その四分の一程度が大人であった。私にはまったく楽しむことが出来ない映画で、奇妙な登場人物も反転世界と言った専門用語も理解出来ない。5分ほどの居眠りをしたが、子供たちが楽しんでおり、途中で出る必要を感じるほどのひどいものでもなかった。終わった後で、登場人物(ポケモン)や反転世界の話を孫達が嬉々として説明してくれるのは大変楽しかったが、2年生の孫は成績が下がったのでもっと勉強するようにと両親から言われたばかりだっただけに、複雑な気持ちではあった。世界中で相当な数の子供たちが、この荒唐無稽な作り話を真剣に勉強し、影響されていると考えるとやや恐ろしくなってくる。デズニー以上に中身のない商業主義と言わざるを得ない。マルティメデイア戦略の成功例と言われる「ポケモン」だけに、日本はもとより世界の子供をこんな荒唐無稽な作り話にさらし続けて良いのであろうか?2年生の孫に言わせれば、80%程度の同級生がポケモン・ファンであるということだ。日本の次の世代はどうなるのであろうか?
 翌日、ケーブル・テレビで「鉄コン筋クリート」が放映されることに気付き、ちょっとだけ観てみることにした。何と言うことだ。その愁いを帯びたレトロな作画、物質的欲望に飲み込まれていく世界、中国を彷彿とする画面もあり、現在の問題を暗示しているとも思われた。岩井俊二監督の傑作「スワロウテイル」が思い出され、最後まで引き込まれてしまった。私には宮崎アニメより素直に観ることが出来たし、押井アニメよりはるかに良く理解でき、珍しく感激するアミメ出合うことが出来た。
 子供向けアニメと大人向けアニメの違いと言えばそれまでかも知れないが、「鉄コン筋クリート」には主張するものがあり、「ポケモン」は何もないゴミの山のようにも思われた。