北沢秋「哄う合戦屋」

 知人から、北沢秋さんの「哄う合戦屋」をいただいた。
時代小説はほとんど読まないが、読み出すと面白くて一気に読んでしまった。主人公の「石堂一徹」の不器用な生き様、「若菜」というお姫さまの明るく天衣無縫な性格設定、そしてこの二人の微妙な関係を楽しんでいるうちに読み終えていた。
 それ以上に力づけられたことは、作者の北沢秋さんが私同様にサラリーマンを経験した60代後半の方で、本作がデビュー作であるということであった。65歳という法定老人年齢を過ぎると、世間が急に老人扱いを始めるように感じられる状況で、老人の位置づけがこれからの日本を左右すると考えている者として、同志を得たようも感じている。
 それどころか、先日、ある大手損保の方に「大手金融機関のほとんどが依然として60歳での定年を原則にしている」と聞かされて、改めて愕然としただけに、一層その思いが強い。老人パワーを活用するのではなく、重荷にする政策しか実行できない愚かな国日本である。