「バトル オブ シリコンバレー」

 近くのビデオ・レンタル・ショップがついに閉店になるので、久しぶりにTSUTAYAに足を運んだ。宅配ビデオそしてインターネット配信の時代が近づいてきたので、TSUTAYAですらいつまで店を張っているか解らなくなった。
 営業努力なのだろうが、「TSUTAYA発掘良品」というコーナーを作り、あまり知られていないDVDを陳列していた。常々、視覚教材を探しているので、「バトル オブ シリコンバレー」を借りてみたが、これが予想外に面白かった。"Pirates of Silicon Valley"が原題で、スティーブ・ジョブズの成功への道のりを軸に、ビル・ゲイツとの対立を描いたパソコン黎明期の実話的映画。気難しくて嫌な奴だけどカリスマ性のあるジョブズ。ライバルのビル・ゲイツは神経質で狡賢い人物。結局、二人ともゼロックスパロアルト研究所の発明を盗んだに過ぎず、ビル・ゲイツのほうが狡賢いので出来の悪いマイクロソフト社製品をデ・ファクト・スタンダードにしたこと等々を躊躇せず簡単明瞭に描いている。二人とも今をときめくタイクーンではあるが、とても尊敬できる人間ではないことをアッケラカンと映画にしているので、起業論の事例に使えそうである。
 映画は、1971年、ジョッブスのパートナーであるウォッズが通っていたカリフォルニア大学バークレー校のシーンからスタートするが、私も71年からバークレーに留学したので、彼らと出会っていたかもしれないと思うと余計に面白くなった。大きな流れが見えなかった私は、フォートランをパンチ・カードに打ち込み、コンピュター・センターに通い、週末にはソロバンで難しい簿記会計の問題を練習していた。同じ空気を吸っていても、目先の勉強しか見えなかった人間の限界であったのだろう。それにしても、ジョブズゲイツもいやな人間であるようである。