東北関東震災と資産運用Ⅱ

 本日の株式市場は、海外株式市場の上昇、寄付き直前の外資系証券の大幅買い越しから、日経平均は9500円を回復、9608円の大幅高で終えた。10時の段階で当面のリバウンドは終わったと考え、買い持ち(ロング)の一部を売却し、上場TOPIX投信の空売り(ショート)を増加させた。私程度の個人投資家がヘッジに利用するには、株価先物より上場株価投信を空売りすることの方が手軽で、このところの割安だと思われるが強気になりきれない日本株のヘッジに利用している。今日のリバウンドで資産運用損益をほぼ大震災前の水準にまで回復することが出来た。この一部は、エジプト革命のお蔭で、中東の政治リスクが不透明になったので、3月末の配当利回りが高い株を残し、ロング・サイドを縮小し、その二分の一程度の株価投信をショートにしていた。大震災と原発問題が浮上し、ここ1週間ほどの下落では、割安株ロングと株価投信ショートのポジションを適時調整し、うまく波乗りが出来たと思う。「二十年間の期間で見れば、どの国のどの時代でも株式がベストの金融資産投資である」と言われてきたが、1990年以降の日本株はこれを見事に覆して見せた。個人投資家先物ないし信用取引で、ショート・ポジションを作れるようにしておく必要があると思う。また、金融資産が多様化しているので、外貨資産は無論のこと金などの商品投資やそれらの投信を利用することも必要である。私は、資産運用の要諦はどの種類の資産、例えば日本株、円債券、外国株、外貨債券、商品等々の資産アロケーションが重要だと考える。サラリーマン時代には資産運用を考える時間がなかったわけで、忙しい人は外貨建て資産を含む分散投資を手数料の割安な投信で持ち続けることが良いと思う。
 私は勉強として様々な資産運用を実践しているが、結果はソコソコでしかない。三島由紀夫が「あしたの金利が予測できない経済学者は無用の人材である」と言ったらしいが、その意味では無用の学者やファンド・マネジャーの方が多いことになるし、それを論理的に説明する「敗者の論理」といった本も存在する。それであっても、日本には資産運用のプロがほとんど育っていないのは問題で、年金運用や余剰資金の運用をリードする資産運用庁や国営ファンドを早急に作るべきである。資産運用能力がまったく無い郵便局という巨大金融機関を放置しておくことは、売国奴のなせる業と言われても仕方がないのではないか。

 「バロン」という投資情報誌に代表されるように、現在の日本株は震災の復興需要と割安感から買場であるという声が海外では高い。日本の相場格言で言えば、「遠くの戦争は買い」と言う状況に類似している。使命感と責任感を持って現場で苦労している無名のヒーロー達の努力で原発事故が好転してきたり、家や舟を失った人々が新しい借金で復興努力を重ねると株価が上がり、投機家にその利益を掠め取られてしまうと考えるとやりきれないが、この難しい局面を上手く泳ぎきれる投機家は多くない。シカゴ市場のモットーに「投機行為は優秀な民族のみに許された特権である」というのがあるそうだが、この混乱期に日本にも優秀な投機家が必要とされていることは間違いない。