日本人はどのように見られているか(2)

 今回の大震災の経験で嬉しかったことのひとつが、予想を超えた海外からの支援の声と援助の提供である。日本のマスコミ報道の与え続けた印象から言えば、エコノミック・アニマル日本は世界の嫌われ者だったはずである。金をドブに捨て続けたと思っていたODA(政府無償援助)がアフリカの貧しい諸国から「これまで我々を援助してくれた日本の危機に何か貢献したい」という形で返されたり、4億人の貧民を抱えるインドから多量の毛布を支援されたりすると、自虐的なマスコミが報道し続けてきたより、日本人は世界の国に好かれているように思われてくる。これは、海外に向かって自国をポジティブに伝達する能力を持たない、世界に通用しないマスコミしか持たない国であるにも拘らずである。
 印象論で言えば、米国、台湾そしてフランスからの支援が際立っているように思われる。米国と台湾は、既に100億円近い義捐金を集めてくれたはずである。フランスは大統領が来日してくれたこともさることながら、放射能防護服の提供から始まり原発先進国として多様な援助をしてくれているようである。米国の対応を沖縄問題などに絡めて皮肉なコメントをする知識人も多いはずであるが、空母や海兵隊の現場投入など100億円近い国家予算を使って同盟国日本を援助してくれていることは、反米マスコミも認めるざるを得ないであろう。台湾の人々は、李登輝・元総統をはじめ親日的な人が多い。今回もあるブルグで次のような書き込みを見つけ、嬉しくなった。「12年前の台湾大地震のとき、日本の応援金は全世界からの173;80%を占めて、今までも台湾人忘れてません。だから、恩返ししたい、3月18日台湾のテレビで、チャリティ電話募金をし、総動員で日本を応援します。日本の友よ!頑張れ!負けるもんか」

 これらの国に対して、日本の弱みを冷徹に見つめ、付け込む隙を伺っているような国もある。先ず、私腹を肥やす元スパイが独裁者として君臨するロシアである。日ソ不可侵条約を無視し、火事場泥棒のように略奪した北方領土問題はさておき、今次も日本の領空侵犯ギリギリまで偵察機を飛ばし、忙しい自衛隊が何度もスクランブル飛行を強いられている。チェルノブイリ原発事故に際して、国際社会はもとより自国民まで情報統制で欺いた前科者に、「福島原発事故の情報開示が不十分である」とは言われたくない。 何につけても政治的な中国政府も、今次の災害を政治的に利用としている。やむにやまれぬ選択であったと信じている低濃度汚染水の海洋投棄に、事前の相談がなかったとクレイムし始めた。中国の公害に起因する酸性雨や黄砂、越前クラゲ、犯罪者などの来日問題に悩まされるわが国に、あの国はどのような防止策を講じてくれているというのだろうか。ロシアと中国に共通する点は、両国とも発言の自由が認められない非民主主義国家であること。国民や世界を欺く情報操作が日常化している両国政府が、日本も同様に情報操作をしていると疑うのは当然と言えば当然ではある。
 一日も早く原発問題をコントロールし、災害復旧に着手したいところである。いい加減な論陣をはる事でしか飯の種がない日本のフリージャーナリストには、「汚染水の海洋投資は世界に対するテロ行為である」と、代替案を示さずに煽り始めた人もいる。しかし、東電は既に相等の情報開示をしていると思うし、米国やフランスがモニターする状況下、必死に最善の対応に努めていると思う。むしろ、指摘すべきは核兵器保有国が過去に行った原水爆実験で世界に撒き散らした放射能に比べれば、福島原発事故による放射能リークが如何に微量であるかということであろう。東電も想定外の大津波よる被害者であるとまで肩を持つつもりはないが、我々のエネルギーを賄ってきた福島原発放射能リークは事故であり、原水爆実験のような暴力的汚染ではないということである。日本のマスコミやジャーナリストたちは、国内のゴミのようなゴシップ集めではなく、この程度の自己防衛の論陣を世界に流すべきである。

 何れにしろ、日本が強く復活した暁には、今次の災害にどのように対応してくれたかを十分に配慮して国際関係の展開にスジを通すべきである。偽者学者の日中米三角論などの空論で国の進路を誤ってはならない。