相場操縦

 世界的な株安が続く中、米国国債の格下げもあり、明日の東京市場は結構な円高・株安で始まることになろう。これで、年初から積上げてきた株式投資の利益がほぼ吹っ飛ぶことになり、外貨投資の評価損が増加することにもなり、大変残念である。
 中期的には、米国経済の実態が悪いはずなのに米国株や多くの外国株式は割高、欧州の経済混乱は長期化、中国の株価の中期下落継続から中国経済は相当に悪い、日本の株式は買い手がいないが故の割安放置、本当に怖いのは長期の円低落期に突入してしまうこと、これらの中期見通しは今日も変わっていないので、夏休み休暇中のポジションをどうするか、明日中に決めなければならない。夏休みの準備として、ロング・ショートであった日本株のショートを解消してしまったことが悔いられる。
 基本的には、日本株と外貨資産を慌てて売ることはしない。相場が大きく下落するなら、明日は日本株と外貨資産を買いますか夫々のロング・ショートにするのが正解であると思うが、明後日から3週間海外に行く予定だから悩むところである。円高が続いていることは、円の借金をしてない限り、世界金持ちランキングにおける日本人の順位が上がったのだからと喜べるほどの度量を持って生まれたかった。私の円建てで考えた運用損も、円預金や円建債券MMFが半分近くを占めるから、ドルやポンド建てで考えれば、利益になっているはずである。英米かマレーシアで老後を過ごすことにすれば、満更悪いことばかりでもない。
 こんなことを考えていたら、喋りすぎる元財務官が、朝の報道番組で、ドルは70円、日経株価指数は8000円てな相場観を嬉々として話しておられた。彼が本当に自分の言葉を信じているのであれば、巨額のドルショート・円ロングと日経指数の空売りをやっていなければ、おかしいことになる。ヘラヘラと笑っている顔には、相場を張っている緊張感は微塵もない。元財務官の彼が単に自分の根拠薄弱な私見をテレビで公言しているのであれば、これは立派な相場操縦と言えるだろう。
 東大や一橋の客員教授として金融を教えたことがある私でも、金融証券市場で結果を出し続けることは本当に難しい。老化防止には格好の場を提供してくれている。