ドラッカー紅衛兵?

 ある人が書かれた経営の本を読んでいる。特別に難しい日本語で書かれているわけではないが、実に難解である。著者を良く存じ上げており、いい加減なことを書いたり、言われたりする人物ではないだけに、理解出来ないのは当方の力不足だろうと考えるが、著者は本当に解って書いておられるのであろうかと言う気持ちも捨てきれない。
 この本と同時に、P.F.ドラッカーの「マネジメント 基本と原則」を読み直している。ドラッカーの大ブームを考えると、ドラッカーを読んでいる人が急増しているはずで、ドラッカーを再確認しておかないと不味いのではないかと思った次第である。ドラッカーは実に解りやすい。漫画や図解にする必要はないし、それではドラッカーの琴線に触れる寸言が楽しめない。今の日本には、ドラッカーの名言を反芻している人がたくさんいるはずである。若い時分はドラッカーの安っぽい大言壮語風の物言いが好きになれなかったが、年とともに彼の洞察力の凄さには驚かされることが少なくない。
 ドラッカー信者が急増することは今の日本では悪いことではない。しかし、一時期の日本におけるK.マルクスのように、P.ドラッカーの言葉がすべてであるかのような状況にはなって欲しくない。最近、ある先輩から、「マルクスは単純で理解しやすいから流行ったのだ。」と聞かされた。マルクスが単純だと考えたことはなかったが、確かに、正反合の唯物弁証法で全てを割り切っていると考えれば、単純なドクマと言えなくもない。ドラッカーの本はマルクスよりはるかに理解しやすいし、ミーチャンやハーチャンでも解った気にさせるいい加減な図解や要約バージョンもたくさん出版されている。ドラッカーをちょっとかじった紅衛兵たちに突き上げられる世の中にはなって欲しくない。まあ、そうなっても毛沢東紅衛兵たちよりはドラッカー紅衛兵たちの方がはるかに御し易いとは思われるが・・・