経済問題

所得流失

先日の日経新聞に、「資源高の影響を受け、日本の所得の海外流出が米欧と比べても突出して進んでいる。2008年1−3月期で26兆円と1年前の1.6倍に膨らみ、今後も広がる見通し。」とあった。ある国の所得が貿易を通じて海外から流入、あるいは海外に…

定年制度

65歳という法定老人年齢が近づいて来た。八百屋さんやオウナー経営者といった自営業者であれば、あまり意味のない節目かもしれないが、会社や大学など定年の規定がある組織で働く人間には大きな節目である。上手く乗り越えないと、死に損ないの余計物とい…

 フレディマックとファニーメイ

今日の日経新聞の三分の一が米国住宅抵当公社2社の公的支援問題に当てられている。新聞に書かれてないことで、それなりに意味を持つと思うことを列挙すると次のようになる。 (1)この2社以外に、米国住宅ローン証券化の公的保証機関として、GNMA(Governm…

 株主優待制度への疑問

株主総会のシーズンが終わり、配当金の支払いとともに株主優待制度を改めて実感させられているが、この制度には大きな疑問と矛盾を感じる。理論に従い小口分散投資を専らとしているから、いろいろな株主優待制度があることに気付かされる。 先ず、株主優待制…

ある頭取(その2)

ブックステーバーの「市場リスク 暴落は必然か」を読み終えた。読む前と後で、リスク管理や金融技術に関する大局観には変化がない。同じ時代に同じようなことを考えて来た人間の若干違った経験を聞くことには、参考になる点や確信を強めてくれる点があったが…

ある頭取(その1)

本ブログを始めていくつかの反応があった。昨日「ブログを読んだ。久しぶりに話しに来ないか」というお誘いを受けて、ある銀行の頭取とお話をした。 伺うと、机の上に2冊の本が置かれていた。R.ブックステーバーの「市場リスク 暴落は必然か」とB.マン…

金融士

金融庁の発案で、「金融士(仮称)」資格の創設構想が打ち出されている。これも遅きに失した政策であるが、無いよりはマシな制度になることを期待したい。 40年前、公務員ではなく銀行に就職することにした時点で、プロ金融マンとして公認会計士の能力が必…

サブプライム・ローン問題(その3)

ここ60年間で、金融理論特に金融技術に関する理論は、高度な発展を遂げたと言われている。確かに、ノーベル経済学賞の受賞者リストを見ても、金融技術に関する功績が大きい受賞者の数は10人を越えている。私は金融技術開発に力を入れていた時期に、これ…

サブプライム・ローン問題(その2)

サブプライム・ローン問題は、現在の金融システムと金融理論が陥っている課題を象徴する現象の一つなので、5月4日に引き続き(その2)を纏めたい。 最近、証券化商品などで実際の取引が少ないために時価を算出しにくい高リスク資産を「レベル3」の資産と呼…

 貯蓄から投資へ(その3)

1500兆円の金融資産は幻想である しばしば、「日本には約1500兆円の金融資産がある」と言われる。この数字は、国の貸借対照表とも言うべき「金融資産負債残高表」の「家計」部門の資産額を指している。若干古いが手元にある「金融経済統計月報」(日本銀行)…

 貯蓄から投資へ(その2)

10年前の拙著に次のように書いた。「現在の筆者には、バブルの形成とその崩壊を体系的に整理する時間がないが、30年間銀行で働いている現場感覚でいえば、その最大の原因は、わが国経済が資金不足時代から資金余剰時代に変化したことへの認識と対応が不…

 貯蓄から投資へ(その1)

私は資産運用理論研究のプロであり、大学でそのような講義も教えている。いっしょにこの分野を研究したたくさんの後輩たちが、資産運用会社や投資ファンドの一線で活躍したり、大学で教えている。 しかし、それでも資産運用で大成功する自信は持てない。私が…

オタク文化と経済問題

岡田氏のオタク論 岡田斗司夫「オタクはすでに死んでいる」(新潮新書、2008年)を読んだ。コンテンツ産業、なかんずく漫画・アニメ関連に対しての経済的期待感が強く、経済産業省なども数々のプロモーションを行ってきた。漫画・アニメ関連の根底には「オタ…