ドラッカー紅衛兵?

ある人が書かれた経営の本を読んでいる。特別に難しい日本語で書かれているわけではないが、実に難解である。著者を良く存じ上げており、いい加減なことを書いたり、言われたりする人物ではないだけに、理解出来ないのは当方の力不足だろうと考えるが、著者…

「ブラック・スワン」

東日本大震災による悲劇、人情劇、人間の生き様等々を見聞きしていると、映画に行って人工的で矮小なドラマを観る意欲が失せて来てしまうが、バレー・ダンサーを主人公にした本作は、愛娘の半生を思い浮かべて、観に行かざるを得なくなる映画である。 娘は、…

専門職大学院を崩壊させるな!

法科大学院を筆頭に「高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培うことを目的とする」文科系修士コースである専門職大学院制度が作られて8年になる。しかし、現状は満足な運営が行われているケースは少数であり、採算問題、就…

福島原発事故

次のEメールは、New Yorkの小学4年生の孫(世資弥)が同じく4年生の日本の孫Jo(丈)に宛てて、3月11日に送ってきたものである。IQが高いGifted ChildであるYoshiyaは、特別の小学校で教育を受けているが、3月11日に既に原発のポンプ故障による核燃…

池田純一「ウェブ×ソーシアル×アメリカ」

知人に薦められ読むことにした。サブタイトルの「全球時代の構想力」にも惹かれたが、実際の内容は「Google,Apple,Facebook, Twitterはなぜアメリカで生まれたのか?」という帯の記述に近い。 博学な著者の記述と思考法に引き込まれて一気に読了した。望遠鏡…

トム・ハートマン「ADD/ADHDという才能」

事業構想論や起業ファイナンスを教えていて、気になることがある。それは、新しい事業を構想する能力は、生まれつきのものなのか否か、どこまで教育できるものなのかということである。「天才は99%の努力と1%のインスピレーションからなる」とエジソン…

「東京原発」

突然、事故のレベルがチェルノブイリ同様の7に引き上げられたり、「東電の福島原発では、事故収拾の道筋は依然として見えない」という表現が枕詞になってきた等々、どうもこの事件では思った以上に情報が操作されていると感じはじめたので、情報通に参考情…

善意か、それとも地震デリバティブか

東北大震災には、数限りない悲劇と多くの小さな善意が錯綜しており、何度も泣かされている。今晩も被災地に缶詰パンを無料で届ける「パン・アキモト」の話に感激し、義捐金を送金したところである。少額の義捐金位しか能が無いから、もう何度目かの善意の義…

日本人はどのように見られているか(2)

今回の大震災の経験で嬉しかったことのひとつが、予想を超えた海外からの支援の声と援助の提供である。日本のマスコミ報道の与え続けた印象から言えば、エコノミック・アニマル日本は世界の嫌われ者だったはずである。金をドブに捨て続けたと思っていたOD…

日本人はどのように見られているか。「ザ・コーブ」

和歌山のイルカ漁を告発し、アカデミィー賞を受賞したドキュメンタリー映画「ザ・コーブ」がDVDになり、やっと観ることが出来た。偏執狂的なものを感じるが、観客の目を意識し計算し尽くした儲けるためのドキュメンタリー映画で、日本人が騒ぐことまで計…

東京電力の責任とその負担

KMVというベンチャービジネスが、90年代前半に企業の信用リスク計測モデルを開発し、世界の機関投資家が採用するまでに普及した。株価変動とオプション理論を応用した優れたモデルであるが、先方が日本企業への応用に苦労していたこともあり、何度かサ…

東北関東震災と資産運用

被災地の惨状が続いている現状で、資産運用を語ることには多少の罪悪感があるが、明日になれば証券市場や為替市場の取引が行われるわけで、自分の老後を託す資産運用に携わる個人投資家として、また大学で金融や証券投資分析を教え、金融機関のコンサルタン…

東北関東震災と資産運用Ⅱ

本日の株式市場は、海外株式市場の上昇、寄付き直前の外資系証券の大幅買い越しから、日経平均は9500円を回復、9608円の大幅高で終えた。10時の段階で当面のリバウンドは終わったと考え、買い持ち(ロング)の一部を売却し、上場TOPIX投信の空売り…

福島原発事故

海外にいる友人から、「福島原発事故がチェルノブイリ級の被害をもたらし、今後100年は東京地区に住むことが出来なくなってしまうような可能性があるのだろうか?もしそうであるとすると、給水作業などの対応策のペースが遅すぎるのではないか。自衛隊員…

原子力発電所の安全性

東京電力福島第一原子力発電所は、計6基の原子炉のうち4基で、深刻な事故が相次いで発生し、原子炉が十分に制御できない状態に陥っている。思い出すのは1979年の米国ペンシルベニア州のスリーマイル島(TMI)原子力発電所で発生した原発事故と、80年…

ガンバレ日本!ガンバレ宮城県

宮城の県立大学にお世話になり、仙台や宮城が大好きな私としては、昨日からの東日本大震災をテレビで見ていることが誠に辛い。地震のあった時は自宅に居たが、私にとっても人生最大の地震であり、揺れのひどさに恐怖を感じた。壁の鏡が一枚割れ、ランプや本…

重要性の原則

会計原則のひとつに「重要性の原則」というのがある。会計処理の効率性、迅速性などを担保するべく、金額が少額であるといった観点から判断に重要な影響を与えないと考えられる取引については、会計処理を省略するとか簡便な方法に従うことを認めるという考…

「バトル オブ シリコンバレー」

近くのビデオ・レンタル・ショップがついに閉店になるので、久しぶりにTSUTAYAに足を運んだ。宅配ビデオそしてインターネット配信の時代が近づいてきたので、TSUTAYAですらいつまで店を張っているか解らなくなった。 営業努力なのだろうが、「…

日本アカデミー賞

日本映画制作者連盟の集計によれば、昨年の映画興行収入は2207億円で、2010年比7%増、入場人員で見ても174百万人で対前年3%と一見したところ改善している。しかし、興行成績上位の映画のリストを見て驚かされることは、アニメと漫画が圧倒し…

「太平洋の奇跡ーフォックスと呼ばれた男」

何故この映画を、今、制作するのか解らなかったが、観なければならない映画だと思っていた。1982年にアメリカ人の手になる原作が出版され、それ以来映画化を考えてきた奥田プロデューサーが紆余曲折の末に、太平洋戦争開始から70周年をとらえて映画化…

黒木亮「獅子のごとく」

数年前から、突然の腰痛に苦しんでいる。幸い、慢性の腰痛にはなっていないが、何かに拍子に突然襲ってくる。腰痛が治ったと思ったから、昨年は久しぶりにイギリスの田舎に行き、素晴らしい夏休みを過ごしたが、その最後の二日間は腰痛に襲われ、また弱気に…

オリバー・ストーン監督「ウォール・ストリート」

87年に、乗っ取り屋ボエスキーをモデルに制作された秀作「ウォール街」の続編。リーマン事件をモデルにしたということで、楽しみにしていた。それなりの出来ではあるが、物足りなさは否めない映画。①映画の前半は、24日に書いた「リーマン・ショック・コ…

A.レボー「バーナード・マドフ事件」

リーマン問題の影に隠れてしまったが、マドフによる6兆円とも言われる金融詐欺事件は、現在の金融システムや現代アメリカ社会を考える上で、もっと注目されるべきだと思っている。ツンドクしてきた本書は、マドフ事件を取り上げた数少ない著作である。 本書…

年賀状

お年玉付き年賀状の当選番号をチェックしながら、頂いた年賀状の枚数同様に切手シールの当たり枚数も大きく減少したことに、改めて気付かされた。ピーク時の五分の一程度になっている。 最も大きな減少理由は、大学に転職して以降、私が年賀状を出さなくなっ…

A.ソーキン「リーマン・ショック・コンフィデンシャル」

中断していたA.Sorkin "Too Big To Fail"を読み終わった。 リーマン・ショックの金融危機を丹念に実名で書き出した本であるから、面白くないはずがない。訴訟社会で実名を使って記述しているからには信憑度は高いはずで、よくここまで調べ上げたものである…

「ソーシャル・ネットワーク」

仲の良いアメリカ人が誉めていたし、ゴールデン・グローブ賞を作品賞、監督賞、脚本賞、作曲賞の4部門で受賞、アカデミー賞の呼び声も高くなり、講義の話題としても使えるので、「ソーシャル・ネットワーク」を観に行った。確かに、悪くない映画であるが、…

Jライトマン監督「マイレッジ、マイライフ」

邦題とGクルーニーが主演であることから、軽い乗りのコメディー映画と思っていたが、ビジネス界を舞台に、たくさんの論点を織り込んだ佳作であり、アカデミー賞候補になったり、他で脚本賞を受賞していることが納得できた。ビジネス界に長年身を置いた観点…

川島博之「農民国家・中国の限界」

昨日、期せずして「農民国家・中国の限界」を書かれた川島博之さんの講演を聞く機会に恵まれた。年末の当ブログで「日本の過去は中国の将来像?」として、私の経験と直感から中国問題を述べたが、川島さんがもっと体系的な分析を踏まえて類似の結論を導かれ…

年末、年始の焦燥感

年末から年始にかけては、私の親に子供の相手をしてもらい、集中した時間を作ることが出来たから、銀行マン時代には山崎豊子さんの長編小説のように二日間くらいで読了できる本を読むことが多かった。最近は時間の自由度が高く、二日ぐらいの時間を作ること…

日本の過去は中国の将来像?

また馬齢1年を重ねてしまった。年末にあたり、個人的問題以外でもっとも気になることを述べるとすると、中国のこれからということになる。 中国が過大に評価され過ぎた年であったが、わが国に100年以上遅れて近代化を始めたわけで、世界を指導するにはほ…